2017年6月に導入されたサウジアラビアの物品税(excise tax)は、たばこ、エナジードリンク、炭酸飲料、加糖飲料に選択的な税率を適用する。ザカート・税・関税庁(ZATCA)が運用するこの制度は、公衆衛生や環境への害と結びつく製品の消費を抑制しつつ、同国の非石油収入の基盤を拡げる。
法的枠組み
物品税は、指定物品への統一的な選択的課税を実施するため、湾岸協力会議(GCC)加盟6カ国すべてが採択した枠組みである「GCC統一物品税協定」の下で導入された。サウジアラビアでは、物品税法とその施行規則が同税の法的根拠を提供し、課税対象物品の範囲、適用税率、登録要件、申告義務、不遵守に対する罰則を定める。ZATCAは、監査の実施、更正処分の発出、還付請求の処理を含め、物品税を運用・執行する所管当局である。
課税対象品目と税率
物品税は、3つの広範な物品カテゴリーに差別化された税率で適用される。たばことたばこ製品は、紙巻きたばこ、葉巻、パイプたばこ、電子たばこの機器・液体を含め、小売販売価格の100%が課税される。無香の炭酸水以外のあらゆる発泡飲料を含む炭酸飲料は、50%が課税される。カフェイン、タウリン、朝鮮人参、ガラナなどの刺激物質を規定の閾値を超える濃度で含む飲料と定義されるエナジードリンクは、100%が課税される。2019年12月に物品税の対象に加えられた加糖飲料は、50%が課税され、砂糖や甘味料を添加したあらゆる飲料を含む。
登録とコンプライアンス
サウジアラビア国内で物品を製造、輸入、または指定の課税保留(タックス・サスペンション)取り決めから搬出する事業者は、物品税の目的でZATCAに登録しなければならない。登録納税者は、事業の性質に応じて月次または隔月で物品税の申告書を提出し、各課税期間の終了後15日以内に物品税を納付しなければならない。税額は、申告された小売販売価格とZATCAが公表する標準価格のいずれか高い方に基づいて計算される。納税者は、物品の製造、輸入、在庫、販売の詳細な記録を最低6年間保存しなければならない。
税倉庫と課税保留
物品税の枠組みには、物品を認可倉庫の間で製造、保管、移送する際に、即時の納税義務を負わずに行える課税保留の取り決めに関する規定が含まれる。課税保留は、規定の条件を満たしZATCAに財務保証を提供する、認可された製造者、輸入者、倉庫事業者が利用できる。この保留の仕組みは物品のサプライチェーン管理を効率化し、国内消費向けの搬出時、または保留取り決めからの引き取り時に納税義務が発生する。
歳入への影響
物品税はサウジ政府にとって相当な歳入を生み、年間で数十億リヤルを非石油の政府収入に寄与している。同税は、他の税目と比べて相対的に低い運用コストと高い遵守率を伴う、効果的な歳入手段であることが証明されている。物品税による歳入は、サウジアラビアの経済改革の課題を支える広範な財政健全化戦略を支え、石油収入への依存を減らし、財政の持続可能性に寄与する。
公衆衛生の目的
歳入の確保にとどまらず、物品税は明確な公衆衛生政策の目的にも資する。サウジアラビアは肥満、糖尿病、たばこ関連疾患の増加に直面しており、物品税はこれらの健康負担の一因となる製品の消費を減らすよう設計されている。物品税導入後のサウジアラビアや他のGCC諸国における消費者行動の研究は、炭酸飲料とエナジードリンクの消費に計測可能な減少があったことを示している。ただし、たばこ消費への影響は、ニコチン製品の依存性ゆえに、より緩やかであった。2019年の加糖飲料の追加は、公衆衛生上の懸念としての砂糖消費への政府の焦点の拡大を反映していた。
執行と罰則
ZATCAは、密輸、模倣品、物品の不正取引を標的とした監査、検査、情報に基づく捜査を通じて、物品税の遵守を積極的に執行する。不遵守に対する罰則には、登録遅延、申告遅延、納付遅延に対する過料のほか、意図的な不遵守については脱税額の最大25%の罰則が含まれる。物品の密輸は、拘禁を含む刑事罰の対象となる。ZATCAは、たばこ製品にデジタル納税印紙を用いて追跡を容易にし不正取引を防ぐとともに、不遵守の納税者や不審な取引を特定するための技術とデータ分析の利用を拡大している。
事業上の考慮
食品・飲料、たばこ、小売の各セクターで事業を営む企業は、物品税の義務を業務・財務の計画に組み込まなければならない。価格戦略は物品への相当な税負担を織り込む必要があり、サプライチェーンの取り決めは税倉庫・課税保留の要件に準拠しなければならない。輸入者は、搬入時点での適切な通関申告と納税を確保する必要がある。物品税の対象拡大や税率調整の可能性が続く中、企業は規制の動向を把握し、コンプライアンス事項についてZATCAと積極的に関与し続ける必要がある。